およそ性的なことに関する男と女の感情には大きな差がある。男が女体に対して一直線であるのに対し、それを受け止める女の感情は複雑である。子宮がひとつしかないからだろうか。女はそう簡単にはいかない。
鳴門市に移り住んだとき、出会い系サイトに登録して彼女を作った。なかなか見つからないだろうと思っていたが、わりとすんなり見つかった。女も出会い系で男を探すのだな、と改めて思った、女も男が欲しいのである。
それほど性的に貪欲でない俺は、すぐ彼女の体を求めることはしなかった。出会い系が初めてで、そこで女性に出会うのも初めてだったし、成り行きを見守ろうとした。すぐに出会った男女はすぐに別れてしまうかもしれない。
だが成り行きは普通の男女の出会いと同じで、彼女も徐々に心を開くようになり、俺に熱い視線を向けるようになってくる。すると俺も欲情してくる。
(そろそろいいかな)
海の見える公園で、夕日を見ながらキスし、体に触っていいかと聞いた。
すると彼女はにんまりほとほほえんで「触って触って」と甘えた。
彼女も欲情していた。女が男を受け入れる瞬間を俺は見た。
そんな彼女は、数年前に大阪にいたらしい。
今は地元のファストフードでアルバイトしているが、当時は道頓堀の和食料理屋の店員だった。一緒に大阪にでてきた知人の女と一緒にアパートを借り、電車で通った。
その満員電車の中で痴漢に遭ったという。
痴漢は尻を撫でてきた。
瞬間、彼女は男のむこうずねを蹴飛ばした。男は女を睨んだが、睨み返したら離れていったらしい。捕まえようとは思ったが、追いかけるのも面倒だったのでやめた。
「ほんとむかついたわ、あのとき」
ラブホでの会話だった。
俺は彼女の体を触りまくる。尻だけでなく、乳やマンコも触る。すると彼女は欲情し「もっと強く」とか「指入れて」とか甘える。触れば触るほど欲情する。
しかし痴漢に触られたら生まれる感情は憎悪でしかない。痴漢に甘えることはない。蹴飛ばして終わり。
女のセックス感情は、欲情と憎悪の表裏一体だ。
男にとって女の体はひとつでしかない。彼女の体も電車の中の見知らぬ女の体も、ひとつの女体でしかない。その体に触ろうとする感情もひとつ。それは単純な欲情にすぎない。
そんなことを考えながら、俺は二回戦目のセックスを始めた。
彼女は「後から責められたい」と言った。