自称OLの女とミントC!Jメールで知り合ったのは先週のことだった。理想とはかけ離れているものの、顔写真を見ていると今や懐かしき昭和のエロ本のモデルを連想させ、行きずりのセックスをするにはちょうどいいなどと考え、本命の女を探す前にこの女で抜こうかともくろみ、その女に絡んだ。当たりかはずれかわからないが、その女は痴女だった。
サイト内では「暇だから絡んで」程度の文言しか載せていなかったが、実際に会ってみると、スケベなことばかり口にして挑発してくる女で、正直ひるんだ。昭和のエロ本モデルになれそうな女だったが、実際は違うだろうと内心思っていただけに、その痴女ぶりに驚く。
「ここにくる前にオナニーしてたんだよ。あなたもオナニーするの?」
「しないことはないけど」
「なんでそんな風に回りくどいの? してるんならしてるって言いなよ」
「してる」
「オナニー気持ちいいよね……エッチも気持ちいいけど」
口にする言葉、すべてエッチ系だった。
俺は明らかに劣勢に立っていた。行きずりのセックスをして抜こうと思っていたのに、圧倒され言いたいことも言えなかった。痴女相手に何とかここを切り抜けなくては、という思いだけがあった。このまま別れるか、行くところに行って抜くか。自分の意志を示さなくてはならない。
「ちょっと散歩するか」
コーヒーショップを出て適当な方向に向かって歩く。女の靴は底が高く、カコカコと音がする。何の音か知らないがジャラジャラと金属の音がする。コロンの匂いにかすかに汗の匂いが混じっているのはオナニーのせいか。
「つまんないな」
それがきっかけだった。男としてのプライドがその一言で揺らいだ。
俺は抱きしめてキスした。痴女は少しも抵抗せず舌を出してきた。そして俺の股間をつかんでこう言ったのである。
「おっきいね」
また一本取られた。
それからホテルに行って抜くには抜いたが、最後までその痴女に圧倒されっぱなしだった。
その日を最後に会っていない。