性欲は本能であるから、誰でも性欲を持っている。程度の差はあるだろうが、性欲を持たぬ人間はこの地上に存在しない。
だがその性欲を表面に出さない人間はいる。いわゆるむっつりスケベや袋とじ女子と言われている連中だ。
今回出会い系で袋とじ女子なるものに出会ったので紹介してみたい。
その女子大生は身体がむっちりして肉感的だったので、一発で見初めた。表情がやや固く知的すぎるきらいがあるが、その身体つきを買ってぜひつき合いたいと思い、連絡したんだ。
とりあえず会ってくれることになった。
彼女は「男友達募集」と書いていたが、徐々に親しくなって恋人かセフレになれたらいい。
いろいろ話を聞いたら、大学は理学部の数学科にいるようだ。いわゆるリケジョ。中学生のころ数学の楽しさに目覚め、寝ても覚めても数学という暮らしをしてきたという。
そう言われてみれば、そんなタイプだ。話が論理的で、やや堅苦しく理屈っぽい。この女を恋人かセフレにするのは至難のわざのような気がする。
「エッチなこととか関心ないの?」
「さあ、どうでしょう。あまり意識的に考えていません」
「ずばり、処女ですか?」
「はい」
淡々と答える。
「オナニーとかするの?」
そう聞くと動揺した。目をきょろきょろさせて、髪をいじったのだ。
「するんだ」
「そのような質問は遠慮願えますか」
急に上擦った声になる。
「ディルドって知ってる?」
「し、知りません。そんなの使いません」
「・・・・・・・」
「本当は本当は数学よりエッチなことが好きなんだろ?」
「これからどうする?」
「別に希望はありません」
「ラブホテルに入ったことあるか?」
「ないです」
「見学してみないか?」
「そうやって女性を窮地に追い込むんですね」
「こういう機会じゃないと入れないぜ」
リケジョだから好奇心は旺盛のようで、ついてきたよ。
部屋の中に入ったら、びくびくして縮こまる。
「ここは男と女がアレをする場所だ。すごいだろ」
「ちょっと、トイレに行ってきます」
ハンドバッグから勢いよくハンカチを取り出してトイレに行った。
そのとき中途半端にテーブルに置いたせいか、ハンドバッグが床に落ちたんだ。すると、バナナの形をしたアクセサリーが転がってきた。
―なんだこれ―
根本に「ON」「OFF」の表示があった。
―もしかして―
右にひねった。
するとぶーーーんと振動したのだ。
それはまさしくローターだった。
―こんなもの持ち歩いてんのか―
興奮したよ。彼女が大人のおもちゃを持ち歩いていたとはね。
そっと中にしまい、ハンドバッグをテーブルに置いたよ。
こういうのを袋とじ女子って言うんだなって思った。
それから彼女とどうなったかって?
その日は見学だけで終わったよ。
でも二回目のデートでまたラブホテルに入り、セックスした。
数学者でも処女を破ったら出血するんだな、と感心したよ。
リケジョも「女」なんだね。