条件にゴム持参があったのには笑った。
「○してくれる方以外お断り。18歳以上なら年齢不問」
こんなタイトルがあったので、ひさびさに割り切りしようと声をかけた。女は20代前半と思われるが写真は貼っていなかった。だが完全に体が目的なので、顔はとりあえずどうでもいい。よっぽど嫌なら会ってから断ればいい。
「それで条件は」
「ホ別WU吉ゴム有一回ゴム持参」
ホテル代は男性持ちで、男性が持参したコンドームつけて一回セックスして2万円、という意味だ。ラブホのコンドームを使えばことたりるので、ゴム持参を条件にする女はそういないと思うが、彼女はホテルのコンドームを信用していないらしい。
「いたずらする男がいるのよ」
その男とは、ほかでもない彼女の割り切り相手だった。プレイが終わり、帰り支度をしていたとき、先に服を着終わった男が一個余ったコンドームの先端に安全ピンで穴を開けたのだ。
「なんでそんなことするの」
「昼間から男をたぶらかしてエッチをしている女に妊娠という制裁を与える」
男は自分のことを正義の味方だと言った。
そんなことがあって、ホテルのゴムを信用できなくなった。
その意味では、女の割り切りセックスは安全確実だった。逆に言うと、クールで淡々としていた。
Gジャンに赤いマフラーが目印だったが、顔もスタイルも悪くなかったので恋人気分でお茶でもしようと言ったら、さっさとエッチを済ませてしまいたいと言う。上野から京浜東北線に一駅乗って鶯谷で降りて、ラブホに向かった。
女は途中ほとんど口をきかずスマホばかり見ていたが、不意に画面から目を離してこう言った。
「ところでゴム持参したよね・・・」
「持ってきたよ・・・」
ホテルに入ると、女はあっという間に全裸になってベッドインした。俺は興奮しながら攻めだした。
「ごめん・・・条件に入れてなかったけど、キスだめ」
キスでも口内の粘膜に傷がある場合、梅毒に感染するリスクがあることを思いだした。
「立ったらすぐにゴムしてね・・・持ってきたゴムだよ・・・わかってるよね」
「わかってるよ」
ゴム付きでフェラしてもらおうと思ったが、また何か条件を付けられそうだったからやめた。女は濡れ方を知っているのかすぐに挿入可能になり、こうなったら女が言うようにさっさと済ませようと挿入した。
アヘ声はいい音色だったが、どことなく機械的な、コンピュータ音声のような声だった。本当に感じているのかと聞きたかったが、逆に色々言われそうだったので黙っていた。
ホテルに入ってからたった20分で射精して割り切り完了。
「くそっ 俺も穴開けようかな」
「バカなことしないで」
ブラを胸にはめながらにらむ。
彼女の昔の割り切り相手の気持ちがわかるような気がした。