白衣の天使はもはや死語だ。
看護師は多忙で、受け持ちの作業を短時間で効率よくこなさないと、仕事が終わらない。天使のような笑みを浮かべて患者さんに接するマリア様のようなイメージは、過酷な仕事に追われる現代の看護師にはない。
これは世間の常識かもしれない。
だが僕はそうは思わない。二カ月前に胃が痛くなって内視鏡の検査を受けたとき、担当の看護師さんはとても美しく、優しく、上品だった。僕をいわたり「検査はすぐ終わりますからね・・・苦しくないですからね・・・苦しくなったら私の肩をとんとん叩いてくださいね」
僕は大して苦しくなかったが、看護師さんの細い肩をとんとん叩いた。
検査の結果、悪性ではないと診断されて安堵したが、それ以上に白衣の天使に出会えたことが嬉しかった。
―白衣の天使は存在した―
あれから看護師さんへのイメージが激変したのだ。
看護師さんはおしっこしない。
看護師さんはいつもいい匂いがする。
看護師さんはみんな処女。
看護師さんに割れ目はない。
他の女が持っている醜い部分、淫らな部分は看護師さんにはない。
その後出会い系サイトに登録したが、縁あって看護師さんと知り合った。
内視鏡検査の際に介助してくれた看護師さんとは少しも似ていない崩れた感じの看護師だったが、僕には相変わらず白衣の天使に見えていた。
小児科に勤務しているようなので、子供好きな優しい女性に違いない。
「子供がうざくてね・・・本当は内科か皮膚科が楽なんだけど、人気あるから席がなくてさ、しょうがなく小児科にいるのよ」
(また謙遜しちゃって・・・本当は子供が好きだから小児科に行ったんでしょう?)
彼女が何を言おうと、彼女は僕に取って白衣の天使だった。
でもその思いは虚像であることが分かった。それは初セックスのとき。裸になった看護師さんの下半身を見てびっくり。
陰毛で覆われた上付きマンコの割れ目ちゃんがそこにいたのだ。
「ねえ・・・舐めてえ・・・」
看護師さんが甘える。僕は舐めてあげた。するとおしっこの匂いがしたのである。そういえばベッドインする直前にトイレに行ったっけ。女性器固有のむっとした膣液の匂いもした。そのセックスで僕の中にいた白衣の天使は姿を消した。
看護師さんもおしっこする。
看護師さんのアソコは臭い。
看護師さんは処女とは限らない。
看護師さんにも割れ目がある。
看護師さんは天使じゃない。