出会い系で年上女性と出会った。プロフには独身とも既婚とも書いておらず、恋人が欲しいとだけ書いてあった。写真を見る限り確実に30代で、20代特有の鮮やかさがなかった。それだけ人生の年輪を重ねているともいえるし、女として成熟しているように見える。
「年いくつ」
「30代前半…四捨五入したらアラサー」
「僕と遊びませんか」
「年上女性好き?」
「好きです」
しばらくサイト内でメール交換し、4日目からLINEをするようになり、8日目の午後から会った。この女とセックスできるかな、という素朴な不安があったが、彼女が積極的だったので、ラブホでベッドインすることになった。
そのとき彼女が出会い系で遊びまくっている浮気妻であることを知った。
「人妻だって言ったらどん引きすると思って」
「独身とは書いていなかったので、既婚の可能性もあったわけですから、別に驚きません」
「ありがとう」
彼女が人妻だと思うと、体がエロっぽく見えたし、セックスも気持ちよかった。人の持ち物をただで楽しむ盗人になった気分で、そんな自分が凄いと思った。
(浮気妻はすぐにやらせてくれるんだな…)
だが怖さもある。浮気妻につかまって地獄に墜ちた人の話を聞いたことがある。ゴールの見えない関係が続き、しまいには夫バレして多額の損害賠償請求。金のない俺には無茶な話だ。人妻は出会い系でも人気株ではあるが、人妻と付き合う以上は大きなリスクを抱える覚悟で挑まなくてはならない。俺にはそれがほとんどなかった。
「今まで何人の男性と浮気したんですか」
一回戦が終わったとき、陰茎の精液をティッシュで拭きながら聞いた。人妻も膣から逆流してくる精液をティッシュで拭いた。
「20人くらいかな…全部出会い系の男…その日限りが半分以上…付き合ったとしても数週間」
苦笑いしながら言う。
「まあ…こっちが人妻だから仕方ないんだけどね…君は長く相手してくれると信じているけど」
「ご希望に添えるかどうか…」
「ご希望に添って…」
にじり寄ってくる。まだ精液を拭いたばかりなのにペニスをしごき始める。
「早く立ってえ~」
(出会い系の浮気妻は凄い…)
その日は2回セックスした。ことセックスに焦点当てれば、それは濃厚で気持ち良すぎるセックスだった。
「また連絡するわね…また楽しもうね」
「はい」
だが俺は逃げた。
二度と会う気はなかった。人妻とのセックスは気持ちいいが、危険だ。俺はセックスが好きだが、できれば安心してつき合える女がいい。
その浮気妻は3日間ほど催促のメールを送ってきたが、4日目からぴたっと止まった。
他に相手が見つかったのかもしれない。