日本国籍のある人に「君は日本人なんだね」と言ったら「そうです日本人です」と答えるのが普通だろうと思うが、その女はエロい格好をしてエロいコスメしてエロい目線してるくせに「エロいね」と言ったら怒った。
「セクハラやめてよ…」
「どこがセクハラ…」
日本人に日本人だろうと指摘したら腹を立てる日本人がいるだろうか。彼女の反感には、そのくらいのインパクトがあった。
彼女はYYCで知り合った女。掲示板の写真を見た瞬間からエロいと思ったし、うまく誘ってデートに連れ出したときも、エロい女だと思った。エロ本の表紙に載っているような、エロい女の金太郎飴のようだった。
そのことを指摘したら「セクハラ」だと言われたのが不思議で仕方ない。
俺は反論した。
「エロい女になりたくてエロくしてるんじゃないのか」
すぐに反発する。
「中身はエロくないのよ…いやらしいこと嫌いだし」
彼女の本質はエロい女ではないようだ。
このことについていろいろ考えた。
日本人でも、日本人であることを厭う日本人がいるかもしれない。望んで日本人に生まれたわけではないので、あえて「日本人だよね」と指摘されたら直視したくない現実を突きつけられたようで気分が悪くなる日本人がいてもおかしくない。彼女もそのたぐいの女ではないか。
好きこのんでエロい姿をしているわけではない。自分はエロく見える女で、エロく飾るしか自分の魅力を出すすべがないから、しかたなくエロっぽくおさまっているにすぎない。本当は自分がエロい女だとは思っていない。そんなところではないか。
たしかにじっくり観察すると、それ以外彼女にぴったりするスタイルがないように見える。彼女はしかたなくそうしているのだ。日本人がしかたなく日本人でいるように。
そんな軋轢があり、また彼女「いやらしいこと嫌い」と言われた事情もあり、エッチに誘うきっかけを失い、出会って二ヶ月たった今でもエッチなしだ。
(もしかしたら処女かもしれない)
キャバ嬢のような彼女を見ながら、そうまじめに思った。
出会い系にはいろんな女がいる。