晩婚が進む最近の若い女性の結婚事情から考えると、29歳で独身というのはごく普通だ。YYCでその女性を見つけたときも、独身であろうと思ったし、プロフにもそう書いてあった。だが彼女は結婚経験のあるバツイチ女だった。
少々疲れ気味の表情をしているものの、目と眉のかたちが女優の深田恭子さんに似た美形で、暗めの面もちが逆に美人度を高めていた。地元府中市ではこれ以上の女性を探すのは当面難しいと考えて、その女性にターゲットを絞った。その月はポイント消費著しく、できればすぐにサイトの外に出たかった。
「LINEでいいわよ…お金もったいないもんね」
気が利くところが気に入った。
とめどなく意味のないメールを交わしながらも上手くデートに誘導し、会うことになった。府中市中心部のパーラーで会ったが、実際の彼女に暗い部分はない気がした。普通の29歳独身女性だった。
彼女に結婚経験があることを知らされたのは、深い関係になってからだ。離婚の原因は聞いていないものの、男女の修羅場をくぐりぬけた人生の経験者であることは間違いない。
バツイチの女は、一通り男の生態を学んでいるというのが俺の見解。良いも悪いも男の体と精神を知り尽くし、男に惚れて、男に飽きた経験がある。男の俺でも知らない男の性質を知っている可能性もあり、俺は自分自身を丸裸にされているような気がしていた。何か言うと、その言葉の裏にあるものを見透かされているような。セックスしているときも「次はアソコに触るんでしょ? わかってるわよ」とこちらの意図を見抜いているような。
バツイチの女にどう向き合うか。偏見を持っている訳ではないが、つきあい方が難しい気がする。
バツイチ女が男を巧みに操る女なのか、男に従順な弱い女なのか、今のところ見えていない。
わかっているのは、性器の陰唇がビラビラで、かなり激しいセックスをした過去が伺えるという点だ。
男を犯す女なのか、男に犯される女なのか。
数歩距離を置いたところで、彼女を観察している。