自然と熟女専門の男になった。
2年ほど前、近所のパン屋で店主の奥さんと仲良くなり、ホテルに誘われてセックスしてから、熟女のわかりやすく、かつ気持ちがいいセックスに目覚め、それ以来熟女でないとダメな男になった。熟女は若い女と違ってストレートにものを言うし、欲しいものを欲しいとねだってくるし、思わせぶりなこともしないし、面倒くさくないのだ。しかもセックス経験豊富だから抱いていて気持ちがいい。一度熟女の味を覚えたら、まるで薬物中毒になったように、熟女から離れられなくなる。
その奥さんとは、ご主人にバレて別れたが、俺に累が及ばなかったのは不幸中の幸いだった。不倫相手を守るパワーも、熟女ならではだ。
それから出会い系に登録してセックス相手を探したのだが、やっぱり熟女のおばさんに目が行ってしまう。
今つきあっているのは、40代の家政婦だ。独身で結婚経験がないぶん、人妻っぽい魅力に欠けていたが、逆に若々しさが残っていて、ぴちぴちした熟女という印象があった。パン屋の奥さんと違ってねちっこさはないものの、わかりやすさという面では、共通しているものがある。女は年をとると単純になっていくのだろうか。
「ノブくん、熟女のおばさんが好きなのね」
「好きです……洋子さんと知り合う前も40代の人妻と関係がありました」
「ごめんね私が人妻じゃなくて」
「いや……結婚経験がないぶん、洋子さんには独特の魅力があります」
褒めるとセックスにも熱が帯びてくる。メスの匂いを漂わせながら、俺にからみついてくる。濃厚なキス、濃厚なクンニ。どっちが唇でどっちがまんこかわからなくなる瞬間もある。
熟女はいい。
でも俺はまだ27歳。
このまま熟女専門でいていいのだろうかと思うことがある。熟女とのけ結婚などありえないし、いずれ完全に足を洗わないといけないとは考えている。
だが薬物中毒の患者がそうであるように、いったん脳に覚えこませた快感は、簡単には消えてくれない。
熟女中毒、なるものがあるかどうか知らないが、俺の今の疾患を言葉にするとしたら、これ以外にない。