「うわあっ、ここがラブホテルねっ やらしいわっ」
ハピメで知り合ったOLの女と初めてラブホテルに入ったときの話をしよう。俺もそれほどラブホテル経験が豊富な訳ではなく、数年前にデリ嬢と待ち合わせたくらいで、その手の施設に入るのは初めてのレベルで、彼女と同じように新鮮な気分だった。胸がドキドキし、落ち着かない。
シックな内装だが、大きめのベッドがどかんと置いてあり、隅にラブチェアがある。照明は調節可能で色んな色を出せる。カラオケやインターネットも楽しめる。枕元にはコンドーム。ティッシュの箱。バスタオル、バスローブ、浴衣……。
「ここでエッチするんだね、みんな」
「エッチしたんだね、という表現が正しい」
彼女とは知り合って二週間で初エッチ。選んだ場所は郊外のラブホテル。二人にとっては、初ラブホテルだ。
この部屋でいったい何人の男が精子を出したことだろう。セックスっていったい何だろう、とふと考えた。
二人で行う初めてのセックスだったし、ラブホテルという初めての環境でもあり、妙な緊張感があって、なかなかうまく進まなかった。キスしたりおっぱいを揉んだり乳首を舐めたり舌で転がしたりしたが、そこにいるのはふだんの彼女でないような気もし、エアコンでやや冷えた彼女の肌が、どこか人工的なものに感じられたりした。
だがクリトリスを擦ったら欲情してきて、高い声を出した。膣からとろっとした液体もにじみだし、陰唇が熱くなった。すると俺も少しずつ男になり、もりもりと勃起した。
挿入してピストン。コンドームを装着する余裕もなく生で突きまくった。
「あっ、あっ、あっ、んあんっ……いやあ……いっくうう」
彼女がイクのと同時にペニスを出してシーツに射精。すると膣から愛液がこぼれてシーツに染みた。
精子と愛液。
ラブホテルは性のトイレだ。男女は快楽を求めて金を出してそのトイレに入り、性欲を満たす。というか処理する。聞いた話では、ラブホテルのシーツが汚れるのは日常茶飯事で、体液はもちろん、尿や血液まで付着していることもあるようだ。便を見たという掃除婦もいる。
「すごい場所だね」
終わったあと、彼女がそう言った。
「本当にエッチが好きな人しか来ないよ……ここは本気でセックスをする場所だね」
初セックスに成功し、男との女になったのは事実だが、彼女とまたラブホテルに入るかどうかわからない。
少なくとも今の段階では、二人ともちょっとだけ引いている。