年を取ったらこんな気持ちは消えるのかもしれない。俺の親父など、若い女を見ても何とも思わないようで、性欲はかなり減退している模様。老化というものは哀しい。だが、少々うらやましい。
俺は精子が満タンになると、女なら誰でもいいからセックスしたいと思ってしまう。体がカッカカッカして、陰茎が首をもたげ、ムラムラしてくる。とにかく女の穴に入れたい。そして溜まったものを存分に出したいと思う。そう思うといても立ってもいられなくなり、駅のトイレに入ってオナニーというのも日常茶飯事だ。これはこれで辛いものがある。
思えば大学一年の頃の自分は、精子が満タンでなくともそういう衝動にかられたものだ。精子の状態云々にかかわらずその悶々は転機が急変するように訪れて、俺は性欲の渦に巻き込まれ、女のにおいを嗅ぎに満員電車に乗ったり、混雑したエレベーターで女に密着したりし、ある意味痴漢行為に近いことをしていた。(危ない)
精子が満タンになると、あのころの感覚を思い出す。
そんな俺が出会い系で女を探しだしたのは自然の流れという他ない。
出会い系の女はすぐにやらせてくれると友人が言っていた。
俺は精子が満タンになるとハピメで行きずりのセックス相手を探すことにしている。
一昨日前にセックスした相手は実にわかりやすく、男に優しい女だった。派手で頭の悪そうな女だったが、ハートは温かった。すぐに会ってくれたし、俺の目的をちゃんと理解していた。俺は精子が満タン状態でどうしようもなかったから、率直に言った。
「精子出したいからセックスさせてくれ」
「やばば……超図々しい男なんだけど……でもわかりやすくていいわ」
金と時間を無駄に使って、回りくどくセックスに誘ってくる男が嫌いらしい。もっとストレートに言われるほうが気持ちも靡くと彼女は言う。
「じゃあやらせてくれるの」
「私でいいの?」
「女なら誰でもいい」
「失礼ね……まあいいわ。なんとなく気持ちわかるから」
俺は彼女の膣の中に溜まった精子をどばっと発射した。
セックスはそのまま三回連続してやって、満タンだった精子はたちまち空っぽになってしまった。
「すっきりした? また遊ぼうね」
出会い系は、俺を満たしてくれる。
19歳の頃にかなえられなかった性的願望を、いま満たしてくれている。