面倒くさいから避妊(コンドーム装着)せずに生で挿入して動き回り、場合によっては中で出すことがある。盛り上がりつつあるセックスの最中に、ゴム装着というエネルギーの流れを止めるアクションを起こすのが好きでないし、そう簡単に妊娠しないだろうとの楽観から、避妊しないことがある。欲求が強いときは特にその傾向がある。
相手はハピメで知り合った女で、けっこうスケベだったし、中出ししてもあまり騒がない女だった。だから俺もつい甘えてしまい、コンドームを手にすることが減っていった。
だがある日彼女がぼそっとこう言ったのである。
「悪いけどさ、ちゃんと避妊してくれない?」
気にしていたのだ。
女はセックスで男の10倍は感じるとされ、その境地にいるとき、ペニスにゴムがかぶっているかどうかなど気にならなくなるという。だが終わってみると膣からこぼれる白い液体。中出しされたとそこで気づく。
スケベなのにちゃんと妊娠を心配していた。
子宮の安否は男にゆだねるしかない女の哀しさを感じた。
基本に立ち返ると、セックスは生殖行為であり、精子と卵子を受精させ、新しい生命体を生み出す行為であることは事実だ。もし受精したら、彼女の体内には生命が生まれ、胎児として育つ。そして時とともに大きくなり、新生児として誕生し女は母になる。
「わかってるよ……次から気をつけるよ」
「私がママになってもあなたはパパになる気ないでしょう? だからちゃんと避妊してよね」
男は出すだけだが、女は最悪妊娠というイベントに遭遇する。女は実は高いリスクを抱えてセックスしているのだ。思い切り感じながら、頭の片隅では妊娠を懸念し、それでも強い快楽に負けて男に身をゆだねるしかない。そして垂れてきた精子を見て愕然とする。女は哀しい。
そして、そう思っていても快楽に負けてコンドームを装着せず、外出ししようにも我慢できずに中で射精してしまう男もまた哀しい。
セックスは気持ちよく魅惑的な行為だが、男と女の哀しさであふれている。