PCMAXで好みの女を見つけた。
細身で顔が小さく、目が大きい。やや沈んだ光を放っていたが、そのぶんセクシャルに見え、俺はゲットに向けて動いた。写真を見る限りはいい女に見えた。今まで好みの女をゲットできたためしがなく、今回もどうせだめだろうという思いがあったが、とりあえず攻めなければ何も始まらないので、とりあえず動く。将棋でいうと「歩」をひとつ前に進めた。
「いいよ……会ってもいいよ」
意外な展開。辛抱辛抱でがんばってきた甲斐があった。好みの女をついにゲットできた。
だが会ってから気がついたのだが、彼女は明らかにメンヘラ女だった。その面倒な性格は最初から突出し「私を誘った以上、重大な責任があるよ」などと言い「私の希望通りに動いてくれないと痛い目に遭う」とも言った。
簡単に会ってくれた理由がわかった。彼女は自分を「愛して」くれる男なら誰でもよかったのだ。
地雷を踏んでしまった。
それから彼女は寄生虫のように俺の生活の中に入り込んできた。一人暮らしだと言ってしまったのが運のつきで、いつの間にか俺のアパートを調べ上げ(尾行していたのだと思う)、毎日のように来るようになった。昼間は会社の近所でうろうろしていて、退社したらいきなり現れる。
「まっすぐ帰るでしょ? 今日はいっしょにおでん食べようよ。コンビニで買ってさ。日本酒も買って飲も」
帰宅してメンヘラ女とおでんを摘む。
「昼間なにやってたの」
「駅のトイレでオナヌしてね、それからウインドウショッピンクしてね、ケンタッキーの肉くって駅ビルのトイレでオナヌしてね、ネカフェで昼寝してまたオナヌして、パチンコで負けたから悲しくなって教会でお祈りしたの」
(異常だ……)
だが見た目は好みの女であるし、求めたらほぼ100%やらせてくれるし、その意味では文句ないのだった。
「いっそここで暮らさないか……」
「ほんとう? じつはね、そのひとことを待ってたの」
嬉しそうに抱きついてくる。左手首にリストカットの跡がある……。
(もう引けないな)
というわけでそのメンヘラ女と同棲し、好きなときにセックスする関係を続けている。メンヘラ女は異常だし怖いが、言うとおりにしていればおとなしいので、とりあえずこのまま続けるつもり。
最近、メンヘラ女とのつきあいかたがわかってきた。
ちなみに彼女はおでんのハンペンしか食べない。