出会い系サイトPCMAXで知り合った2歳年上の女性と交際中だ。
もう半年になるし、普通に肉体関係がある。
名前は有美子さんという。
最近でこそまともにセックスできるようになったが、初めは大変だった。と言うのも、有美子さんは俺とするまで処女だった。30歳処女。いわゆる高齢処女というやつだ。
高齢処女のロストバージンは大変だった。
交際を始めて一か月後のことだった。
俺は有美子さんが処女だなんて思わなかったから、普通にラブホに誘ったのだが、その誘い文句を耳にした瞬間、顔面をひきつらせて苦笑い。
「えええ?」
「行きたくないんならはっきりそう言ってくださいね。あくまで合意のもとで関係を持ちたいので」
「誰も行きたくないなんて言ってないでしょ」
「だって顔に書いてありますよ」
「さっさと行きましょ」
つんとした顔で先に歩く。
どこかぎこちなかった。
部屋に入ってもラブチェアでじっと座ったままだったし、シャワーを使うかと聞いても虚ろな目でだんまり。
結局体を洗わずに強引に服を脱がせてベッドイン。その後もマグロみたいにじっとしてて、キスして乳に愛撫をしかけたらようやく息が乱れてきて、でも女性器に触れても声を出さず、ずっと辛そうな顔をしていて、指を入れたら体を捩じって抗ってなかなか奥まで入らず、無理やり入れたら「痛か」といきなり九州弁になって、その時だったかな、有美子さんはもしかしたら高齢処女じゃないかと疑ったのは。
でも俺はそのことをあえて聞かずに行為を続けた。
有美子さんは始終声を出さず、ペニスを挿入したら顔をくしゃくしゃにして下唇を噛み、血が出たことを指摘すると、たぶん今日から生理になったんだろうとか細い声で言った。
30歳にもなれば自分の生理日くらい把握しているに違いないからそれが破瓜の血であることは歴然としていて、有美子さんが高齢処女だったことを確信した。
なぜ黙って耐えた?
「初めてなの」
とはっきり言えばいいのに。
有美子さんがずっと女畑で生きてきたことを知ったのはそれから数週間たったころだった。公務員という地味な職業についているせいもあるが、高校・大学と女ばっかりの女子学園で、男と接することなく役所に入り、役所もまた税金系の堅物ばかりそろっている職場で、まともな男との出会いは一切なかったと照れくさそうに語った。
その話を通して、有美子さんは自分が高齢処女だったことを打ち明けたのかもしれない。
「処女」という単語を一回も使わずに。
高齢処女は面倒くさい。